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介護現場、特にデイサービスでは、今でもFAXや紙ベースの申し送りを使っている事業所は少なくありません。

申し送りノート、ホワイトボード、紙のチェック表、FAXでの連絡、口頭での伝達。

どれも昔から使われてきた方法ですし、すぐに悪いとは言えません。紙には紙の良さがあります。

手元に残る。パッと見られる。パソコンが苦手な職員でも使える。システムを覚える必要がない。

だからこそ、介護現場では今でも紙文化が残っています。

ただ、管理職やリーダーの立場で見ていると、こう感じることはないでしょうか。

「この情報、全員に伝わっているのかな?」

「申し送りノートに書いたけど、誰が見たか分からない」

「送迎変更を伝えたはずなのに、現場に伝わっていなかった」

「家族からの依頼が一部の職員で止まっていた」

「会議の議題を集めたいだけなのに、毎回確認が大変」

「結局、管理者が何度も同じことを説明している」

介護現場で怖いのは、情報がないことではありません。

情報はあるのに、必要な人に届いていないことです。

そして、その小さな情報共有のズレが、送迎ミス、家族クレーム、職員間トラブル、二度手間、管理職の疲弊につながります。

今回は、FAXや紙ベースで申し送りをしているデイサービス向けに、LINE WORKSを使って申し送りを効率化する方法を、現場目線で整理していきます。

なぜLINE WORKSなのか

LINE WORKSの良さは、LINEに近い感覚で使いやすいことです。

介護現場では、ICTが得意な人ばかりではありません。

若い職員もいれば、年配の職員もいます。スマホ操作に慣れている人もいれば、苦手意識がある人もいます。パソコンを開くこと自体に抵抗がある人もいます。

だから、いくら高機能なシステムでも、現場職員が使えなければ意味がありません。

その点、LINE WORKSは普段使っているLINEに近い感覚で操作できるため、比較的受け入れられやすいです。

もちろん、個人のLINEを業務で使うのはおすすめできません。

個人情報の問題、退職後の管理の問題、私用と業務が混ざる問題、勤務時間外の連絡問題。

こうしたリスクがあります。

LINE WORKSは、あくまで業務用の連絡ツールとして使える点が重要です。

LINE WORKSは「申し送りの交通整理」に使う

LINE WORKSを入れる目的は、単に紙をなくすことではありません。

目的は、必要な情報が、必要な人に、必要なタイミングで届く状態を作ることです。

デイサービスでは、1日の中で情報がどんどん動きます。

送迎時間の変更。家族からの連絡。利用者様の体調変化。入浴時の注意点。会議前の意見。職員への確認事項。

こうした「動きのある情報」を、LINE WORKSで共有できるようにすると、管理者やリーダーが何度も同じ説明をする負担を減らせます。

グループを分けると、情報が探しやすくなる

LINE WORKSの便利なところは、LINEのようにグループを作って使い分けられることです。

ただし、全部の情報をひとつのグループに流すと、すぐに情報が埋もれます。

デイサービスで使うなら、最初は次の3つから始めると運用しやすいです。

1. 送迎グループ

送迎に関する情報だけを流すグループです。

送迎は、情報共有のズレがすぐにトラブルにつながります。

  • 送迎時間の変更

  • 家族送迎の有無

  • 道路状況(状況に応じて施設待機者へ連絡依頼)

  • 車両変更/修理

送迎グループを作っておくと、送迎に関する情報を探しやすくなります。

2. 会議グループ

会議に関する情報を集めるグループです。

例えば、会議前に次のように投稿します。

【依頼】
■スタッフ会議
議題:盛り上がるレクリエーション施策について
日時:5/18(月)17:30-18:00
※期限までに意見を共有してください
期限:5/15(金)17:30まで

紙で集めると、誰が書いたか分からなかったり、提出状況を確認する手間が出たりします。

口頭で集めると、言った・言わないになりやすい。

LINE WORKS上に残しておけば、あとから確認できますし、何より誰がどんな意見を上げているのかが一目瞭然です。会議当日になってから各自の意見をそれぞれ話してから始めるのは三流。時間の無駄です。

事前に共有しておくことで、それに対する意見・反論が事前に考えられます。

3. 利用者様情報グループ

利用者様の体調変化、家族からの連絡、当日の注意点などを共有するグループです。

例えば、A様のご家族から朝に「昨日、自宅で転倒した」と連絡があった場合、次のように共有します。

このように書くと、誰が何を確認すべきか分かりやすくなります。

紙の申し送りに書くだけだと、その日の担当者全員が確実に見るとは限りません。

LINE WORKSに共有しておけば、出勤前、休憩中、送迎前、休み明けにも確認しやすくなります。

4. メイングループ

事務的な内容、スタッフのシフト関連、飲み会等のグループです。

先日歓迎会があったので、私が流した内容を一例で記載いたします。

【共有】
■歓迎会
日時:5/15(金)19:30
期限:5/12(火)17:30
人数:10
場所:〇〇 △△店
Map URL:https://~~~
予約名:あららー
予算:3000〜4000円
※googleカレンダー記載済。

「どこだっけ?」
「何時だっけ?」
「何人くるの?」

以前の職場では、口頭・書面での案内だったため、飲み会が開催されるたびにこの言葉が飛び交っていました。

ですが、このLINE worksに上記を入力するだけで、このやりとりは一切行われなくなります。実にスマート。

ぜひテンプレ化して使ってください!

【共有】

日時:
期限:
人数:
場所:
Map URL:
予約名:
予算:
※googleカレンダー記載済。

LINE WORKSに載せる情報、載せすぎない情報

LINE WORKSは便利です。

ただし、便利だからといって、すべての情報をそのまま載せればよいわけではありません。

LINE WORKSに何でも載せると、最初は便利に見えます。でも、運用が続くとこうなります。

  • 情報量が多すぎて探せない

  • 古い情報と新しい情報が混ざる

  • 誰が何を確認すればよいか分からない

  • 決まり事が流れてしまう

  • 検索したときに古い情報を拾ってしまう

  • 結局、管理者に確認が戻ってくる

つまり、紙の混乱が、デジタル上に移動しただけになります。

LINE WORKS導入したてのころは上記が起こりまくって、かえって時間がかかってしまったことがあります・・・苦い思い出。

LINE WORKSに向いているのは、次のような動きのある情報です。

  • 今日起きたこと

  • 変更があったこと

  • 確認してほしいこと

  • 報告が必要なこと

  • 会議前に意見を集めたいこと

  • 家族から連絡があったこと

  • 送迎や入浴など、当日業務に関わること

一方で、次のような固定ルールは、トークに流しすぎない方がよいです。

  • 送迎マニュアル

  • 入浴介助マニュアル

  • 勤怠ルール

  • 事故対応マニュアル

  • 接遇ルール

こうした決まり事は、トークに流すと埋もれます。
別なアプリ等で管理しましょう。
ちなみにうちの会社では、googleスプレッドシートを活用しています。

LINE WORKSは、あくまで報告・共有・確認を中心に使うのがおすすめです。

検索できることは大きなメリット

紙の申し送りと比べたとき、LINE WORKSの大きなメリットは検索できることです。

紙の申し送りでは、過去の情報を探すのに時間がかかります。

「A様の送迎変更はいつ共有したっけ?」

「家族からの依頼って何だったっけ?」

「転倒の報告はいつだったっけ?」

紙だと、ノートをめくって探す必要があります。

でも、LINE WORKSならキーワードで検索できます。

これは全てのかなり大きなメリットです。

なぜなら、記憶に頼らなくて済むからです。

管理者やリーダーは、日々たくさんの情報を抱えています。

利用者様の情報、職員の情報、家族対応、ケアマネ対応、送迎、シフト、会議、事故報告、クレーム対応。

全部を頭で覚えておくのは無理があります。
特に私は記憶力が人一倍ないので、とにかく記憶に頼ることはしていません。記憶ではなく記録です。

だから、あとから検索できる状態にしておくことが大事です。

ただし、検索には注意点もあります。

過去の情報を拾えるということは、古い情報も出てくるということです。

例えば、送迎場所や家族対応の内容が変更になった場合、過去の投稿だけを見て判断すると、誤った対応につながる可能性があります。

そのため、LINE WORKSでは「変更があったこと」を共有し、最終的に確認すべき情報の置き場所や確認方法は、事業所内で決めておく必要があります。

ここは運用ルールとして、最初に決めておくと安心です。

投稿テンプレートを決める

自由に書かせると、人によって書き方がバラバラになります。

その結果、必要な情報が抜けたり、誰に向けた連絡なのか分かりにくくなったりします。

最初は、次の型だけでも十分です。

【対象】
【内容】
【確認してほしい人】
【期限】
【対応が必要なこと】

この型にするだけで、情報の抜けが減ります。

例えば送迎変更なら、

【対象】A様
【内容】本日帰りの送迎先が変更
【確認してほしい人】送迎担当、添乗者
【期限】帰り送迎前まで
【対応】出発前に管理者へ確認

このように、誰が見ても分かる書き方にしておくことが大切です。

導入するときは小さく始める

いきなり全部をLINE WORKS化する必要はありません。

むしろ、最初から全部やろうとすると失敗します。

おすすめは、送迎グループだけ作ることです。

送迎は、変更が多く、伝達ミスが起きやすいからです。効果が分かりやすいので、導入の第一歩に向いています。

慣れてきたら、メイングループ、利用者様情報グループ、会議グループを作っていきましょう。

最初から完璧を求めなくて大丈夫です。

まずは、見る、スタンプで確認する、決まったテンプレで投稿する。

この程度から始めれば十分です。

ICTが苦手な職員を置いていかないことが、導入成功のポイントです。

導入時に決めておきたい最低限のルール

LINE WORKSを使う前に、最低限これだけは決めておくと運用しやすくなります。

1. グループの目的を決める

送迎グループには送迎情報だけ。会議グループには会議関係だけ。利用者様情報グループには利用者様の共有事項だけ。

目的を分けることで、情報が探しやすくなります。

2. 投稿テンプレートを決める

【対象】【内容】【確認してほしい人】【期限】【対応が必要なこと】のように、型を決めておきます。

3. 決まり事は流しすぎない

マニュアルや固定ルールは、トークに流すと埋もれます。LINE WORKSは報告・共有・確認に使います。

4. 確認方法を決める

「見ました」のスタンプでよいのか、返信が必要なのか、リアクションで反応するのか、誰が最終確認するのかを決めておきます。

うちの私の会社では、既読マークがつけば基本的に確認した扱いとしているので、既読=内容を理解したと捉え、各自が責任を持つ仕組みにしています。

スタンプはトーク内容が埋もれてしまいやすく、全員がそれをやると通知祭りになってしまって煩わしいのでうちの会社では実施していいません。

とにかくルールを決めておくというのが大切ですね。

5. 勤務時間外の扱いを決める

便利だからこそ、勤務時間外の連絡ルールも大切です。緊急時以外は返信を求めない、18:00以降は通知しないなど、職員の負担にならない運用にします。

まとめ

FAXや紙の申し送りは、長く使われてきた方法です。

だから、すぐに全てを否定する必要はありません。

ただ、今のデイサービスでは、情報量が増えています。

利用者様の状態変化、家族からの依頼、送迎の変更、会議の議題、職員への共有事項、クレーム予防、事故予防。

これらを管理者やリーダーの記憶だけで支えるのは、かなり負担が大きいです。

LINE WORKSを使えば、

  • LINEのように直感的に使える

  • 年配の職員でも入りやすい

  • グループごとに情報を分けられる

  • 検索できる

  • いつでも確認できる

  • 記憶に頼らなくて済む

というメリットがあります。

ただし、全てをLINE WORKSに載せればよいわけではありません。

LINE WORKSは、報告・共有・確認に絞って使う。

この考え方が大切です。

紙をなくすことが目的ではありません。

目的は、伝わらないことで起きるムダや不安を減らすことです。

そして、管理職やリーダーが、情報共有のために何度も同じ説明をしなくて済む状態を作ることです。

介護現場の申し送りは、もっとラクにできます。

まずは、送迎グループを作るところからで十分です。

小さく始めて、少しずつ仕組みにしていきましょう。

最後に

今後は、介護事業所向けに、

  • LINE WORKSのグループ設計

  • 送迎申し送りテンプレート

  • 家族対応テンプレート

  • 新人教育テンプレート

  • AIを使った介護管理職の時短術

などもまとめていきます。

最後までご覧いただきありがとうございます。


初出: note